「よかった探し」ってご存知でしょうか?
名作アニメとして1980年代にテレビ放映された「愛少女ポリアンナ物語」。
主人公のポリアンナは、両親を亡くした悲しみを乗り越え、明るく前向きに生きる女の子なんですが、どんなことが起きてもそのなかからよかったと思えることを探し出す「よかった探し」で、周りの人を幸せにしていくんです。
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ポリアンナは両親を亡くしたあと、気難しい叔母さんに引き取られます。
叔母さんは屋根裏部屋をあてがい、網戸がないという理由で熱帯夜に
窓を開けて眠ることを禁じ、食事はメイドと一緒にパンと牛乳だけ食べることを命じます。
けれども、ポリアンナは「鏡がなければソバカスだらけの自分の顔を見ずに済む」とか
「窓から見える景色が素晴らしいから絵がなくても平気」などと言って、そのたびに強がりではなく心から喜ぶんです。
彼女は、亡くなった牧師の父親とずっとゲームをしていました。
それが「よかった探し」です。
どんな状況におかれても、その中から「よかった」と思えることを見つけて感謝するゲームです。
このゲームのおかげで、ポリアンナは街の人気者になり、変わり者・気難し屋と言われるような人々の心をも開かせます。
そして、ポリアンナと出会った人々は、皆「よかった探し」をはじめるのです。
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この話を読んで、どのように感じられましたか?
「こんなの作り話だから」と言ってしまえば、そうかもしれません。
けれども、この話には大変重要な教訓が隠されていると思うんです。
まず、ポリアンナは、相手の話を決して否定しません。
相手の言い分を受け入れ、その中で自分の喜びを見出していきます。
我を張って、自分の主張を通したりはしないのです。
相手の意見と自分の意見が合わないとき、バッサリと切り捨ててしまうことはないでしょうか?
「あの考え方じゃだめだ」とか、「そんなのは受け入れられない」とか。
けれども、もし自分の意見が同じ扱いを受けたらどうでしょう?
おそらく、心の中でベロを出しながらしぶしぶ相手に従うか、あるいは突っぱねてしまわないでしょうか?
それでは何も前には進みません。否定からは何も生まれないのです。
どんな意見の中にも、一粒の真実があります。ポリアンナは、それを見つける天才でした。
仮にそれが相手の思惑と違っていたとしても、肯定されて嫌な思いをする人などいないんです。
気難し屋の叔母さんは、最初は義務でポリアンナを引き取り、「自分は義務だから引き取ったんだ」と露骨に意地悪をしたりしていました。
また、街で変わり者と呼ばれる寝たきりの婦人や、誰とも決してつきあおうとしない偏屈な紳士など、まず簡単に心を開いてはくれないようなさまざまな人物が登場します。
彼らは、始めこそポリアンナを邪険にしますが、次第に心を開いていきます。
そんなかかわり方をしたからこそ、いざというときには大勢の人が心を寄せてくれるんです。
あらすじに戻ります。
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その後、ポリアンナは馬車に轢かれ、半身不随になってしまいます。
そんな大勢の街の人たちが彼女を慰めにやってきて、おばさんは驚きます。
叔母さんが昔、喧嘩別れしたという元恋人で医者でもあるチルトン氏も、ポリアンナのファンのひとりでした。
そのチルトン氏から、ポリアンナの半身不随が治るかもしれないという情報がもたらされ、チルトン氏と会うことを拒み続けていた叔母さんもとうとう折れて、診察を依頼し、ボストンに行きます。
そしてポリアンナは、元気になり、足のリハビリもはじめたのです。
ポリアンナはそこで、同じく足の不自由なジェミーに会います。
後にジェミーはカリウ夫人(チルトン氏の医院の看護婦の姉)の養子になります。
ポリアンナの足は回復し、それを祝ってパーティーをします。
ところが、チルトン氏ががけから落ちて亡くなってしまいます。
ポリアンナもパレーもすごく嘆き悲しんで沈んでしまい、よかった探しすらできなくなります。
その中でも、ジェミーの手術の成功などで、再び明るさを取り戻すのでした。
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ここで、この話は終わります。
叔母さんは、長年確執のあったチルトン氏を自宅に呼ぶことを、とうとう承諾します。
意地悪な叔母さんも、自分の思いよりポリアンナを優先するまでになったのです。
相手の中にある一粒の真実を探しつづけた結果、ポリアンナは大勢の人に支持され、最後は自分をも救う結果となりました。
もう一度言います。否定からは何も生まれてこないんです。肯定は、相手だけではなく、自分をも救うのです。
人の意見を批判する前に、相手の「よかった探し」をしてみませんか?