職場での苦労

もし、今、あなたの目の前に次のような二つの道があったらどちらの道を選びますか?

A 平坦で、舗装された綺麗な道

B 急な上り坂で障害物が多く、未舗装の道

当然、「A」ですね。

しかし、人生において何事も「A」を選択する人は最終的に「B」の道を歩くはめになります。

例えば次のような例で説明しましょう。

「AB商事」に努める、サラリーマンの山田さんと鈴木さんは人事異動で「営業部」に配属されました。

営業部の「怒屋部長」は気難しく、おまけにすぐにどなる、嫌味は言う、無理難題の仕事を命じる。

本当にやりにくい人物との評判でした。

山田さんはなるべく部長とは接点を持たないようにして過ごしますが、ある日とても難しい仕事を命じられました。

その仕事を上手くこなせなかった山田さんはとても理不尽な怒られ方をします。

山田さんは言います。

「あんな仕事は誰がやったって上手くはいかないよ。それになんだよあの怒り方は、あんな言い方はないだろう。自分を何様だと思ってんだ!!こんな安い給料であんな大変な仕事ができるかよ!」

仕事の面だけならまだしも、部長の性格にも疲れていたので、山田さんは出社がだんだん嫌になってきました。

毎日のように飲みに行っては部長の悪口を言って憂さを晴らします。

自己申告の時期に山田さんは「他部署への移動希望」を明確に記します。

「とてもこんな部署にはいられない、とっとと他の部署に行って気楽にやりたいよ」

こんな気持ちでいっぱいです。

本当はこの会社を辞めたいのですが三回目の転職になる山田さんはそうやすやすと転職はできません。

山田さんはいつも思います。

「もっと楽で給料が良い会社はないのかな?しかし俺は会社にも上司にも恵まれないなー、なんでだろう。」

一方の鈴木さんはどうでしょうか?

鈴木さんは「仕事とはお金をもらいながら自分のスキルアップができるありがたいもの」という考えがあります。

怒屋部長の下に配属が決まったときには「チャンスだ!!、ラッキーだぞ」こう思ったそうです。

鈴木さんはまず「怒屋部長」の性格を細かく分析し、部長への接触態度や普段の会話上で注意しなければいけない点を考えます。

これは悪く言えば、「怒屋部長におもねっているのではないか?ゴマをするYesマンになろうとしているのではないか?」と考えることができます。

鈴木さんは「違います」と言います。

「他からは、そう見えるかもしれませんが僕はサラリーマンのプロなんです。

サラリーマンは嫌でも組織の中でやっていかなくてはいけません。

だから組織の中で上手くやっていくスキルを身に付けなければいけないんです。

上司は選べませんから、また、仕事上でもお客さんは選べません。

仕事は結局、人とどうやって接するかということに集約されてくるんです。

ヒューマンスキルが大事なんです。

だからこそ、嫌な上司の下に配属されたときには自分のヒューマンスキルを上げるチャンスなんですよ。

嫌な上司や、嫌な顧客を避けていたらいつになっても良い人としか仕事は上手く運びませんよね。

世の中は良い人ばかりじゃないんですよ」というのが鈴木さんの論理です。

また仕事面でも「難しく、人が嫌がる仕事」を与えられたときは「ヤッター」と思うそうです。

鈴木さんの言い分は次のようなものです。

「だって難しくて人が嫌がる仕事を数多くこなした方が、人の動かし方のノウハウも貯まるし、難しい仕事をどうやってこなすかということを必死に考えることで、自分のレベルも上がるでしょう。

簡単な仕事ばっかりやってたら、何も成長しませんよね。

第一、お金をもらってなおかつ楽をしようなんておかしいでしょう?」とのことです。

この後、この二人はどうなったか?

山田さんは移動願いが受理されて他部署に移動となりました。鈴木さんはあいかわらず怒屋部長の下で一生懸命働いています。

しかしこの不況のせいで、しばらくしてAB商事は倒産してしまいます。

二人は就職活動を始めます。このときになって山田さんは自分にこれといったスキルがないことに気がつきます。

「売り込むポイント」がなにもないのです。ただ組織にぶら下がっていただけですから組織がなくなれば使い物にはなりません。

一方の鈴木さんはAB商事時代の働き振りを知っていた「BB電子」からお誘いを受けます。

AB商事の取引先であったBB電子の資材部長は日ごろの鈴木さんの働き振りを高く評価していたのです。

山田さんはいまだ就職もできずにいます。

最近では就職を諦めて、自分で事業を起こそうと考えているようです。

口癖はこうです。「なんか楽して儲かる商売はないかなぁー」いまだ懲りない山田さんでした。

さて、この二人の対比を読んであなたはどう感じましたか?

楽な道ばかりを選んでいた「山田さん」あえて険しい道を選んでいた「鈴木さん」この時点では楽な道を選んでいた山田さんが結局は本当に険しい道を歩かなければいけなくなってしまいました。

楽な道しか歩いたことがない山田さんには険しい道の歩き方は分りません。

これからは、たくさん大変な目に会うでしょう。

そのときに山田さんは耐えられるのでしょうか?

明確な目的意識を持って、あえて苦境の道に飛び込むことは、自分を大きく成長させ思わぬ果実を得ることが多々あります。

また、明確な目的意識があれば、苦境を苦境とは感じないものです。

自分の成長は、困難をいくつ乗り越えたかによることが大きいのですよ。

楽からは何も生まれません。

明確な目的を持って険しい道を歩んでみませんか?

読んでいただいてありがとうございました。

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