私が中学生だったとき、いつもいじめられている男がいました。
彼のために本名を出さず、仮に、Y君としておきましょう。
わたしも、周りの男子と同じように、彼をいじめていました。
当時習っていた空手の技の実験台にしたり、使いぱっしりに使ったりと、今から考えると当時のY君にはとても悪いことをしたものだと反省をしています。
しかし、当時の私には、彼をいじめることへの罪悪感はあまりなかったように思います。
自分はなぜ、彼をいじめていたのだろうかと考えてみると・・・
中学生のときのY君はいつも表情がおどおどしていていました。
目はしょっちゅう周りを気にしていて、上目遣いに人の顔を見ていました。
着ている制服もなんだかいつも汚れた感じがして不潔なイメージがありました。
また、成績も良くなく、いつも下から数えた方が早いような成績でした。
これらが相まって、相乗効果を生み、いじめたくなるような雰囲気を醸し出していたように思えます。
しかし、中学校卒業と同時に、私とY君は別々の高校に進学したために、私の記憶から彼のことはすっぽりと消えてしまいました。
さて、それから8年位経ったころだと思います。
当時の私は、B型慢性肝炎を宣告され、一時的に実家に戻り、日々鬱々とした生活を送っていました。
ある日、ふと入った喫茶店で、自分と同年代の男女がわいわいと楽しそうに騒いでいるのが目に入ってきました。
「いいなぁ~」正直このような感情が沸き起こりました。
当時の私には未来への希望が全く持てず、女の子と”わいわい楽しく”などという気にはなれませんでしたし、感染症の病気ですから女性との交際にも二の足を踏むところがありました。
ですから、私はなるべくそのグループが見えないような場所に席をとりました。
そのときでした。
「加川!」
と私の名前を大きな声で呼んだ男性がいました。
見ると、その声の持ち主は、そのグループの中心的な感じのする男でした。
私は「だれだこいつ??」といぶかしがりましたが、次の瞬間、「えっ!?」と声に出していました。
なんと、その男は、私が中学時代いじめていたY君だったのです。
昔の面影は消え去り、堂々としたいい男になっていました。
私はショックというかポカンとしてしまいました。
その理由は3つ
●中学時代にY君からは、一度も呼びつけにされたことはなかったのに、今は「加川」と呼びつけで呼ばれたこと。
●中学時代いじめられっ子だった彼が、仲間の男性陣から一目置かれたような感じで見られていること
●あんなにもてなかった彼が、とっても可愛い女性と一緒にいること(しかも、なんとなくですが、女性陣は皆、Y君が目当てっぽい雰囲気でした)
それでも気を取り直し、中学時代のイメージで、「よう、Yか~、お前ここでなにやってんの?」と言い放つと同時に、Y君からはカウンターパンチのように、「加川、俺はもう昔のおれじゃないんだよ、偉そうに話すなよ」
と言われてしまったのです。。
私は強く言い返すことができませんでした。
当時の私は自分に全く自信がなく、Y君が大きくまぶしく感じたのです。
あなたには、これと似たような経験はありませんか?
昔、見下していた奴が自分より大きく感じた経験はありませんか?
さて、その場で、Y君とは、数日後に会う約束をし、彼と別れました。
しかし、「人間はあんなにも変るのか?」この想いが頭の中をグルグルと回り、夜になっても彼のことが頭から離れませんでした。
そして数日後、Y君と会い、話をしました。
私はいきなり核心から聞きました。
「何でそんなに変ったの?別人だよ」
彼が語ってくれたことをまとめれば次のようなことです。
- 自分が20歳のとき、ジャニーズの少年隊の人気に火がついた
- まわりから、少年隊のかっちゃん(植草さん)に似ているといよく言われるようになった。
- 飲みに行くと何故だか女性から、かっちゃんに似ていると言われ、女性からもてるようになった。
- そんな自分を見て飲み屋で仲良くなった男性からも自分が上のような感じで扱われるようになった。
- 飲み屋の綺麗な女性と付き合うようになり、その女性とデートをしていると回りの男性が羨望の目で見ているのがわかった。
- そして、徐々に自分の何かが変ってくるのがわかった。積極的な性格になったし、物怖じしなくなった。堂々とした態度がとれるようになった
- それに連れて。周りの人間の自分に対する対応が変ってきた。
- もう自分は昔の自分じゃないとはっきりとわかるようになった。
- 今では、自分は重要な人間だし、価値のある人間であると思っている
と、このようなことでした。
成功法則の王道に次のようなものがあります。
自分が欲しい物があったら、既に手にしたように思い行動しなさい。
自分がなりたい人物像があったら既にそうなったように思い行動しなさい。そうすれば、世の中は、あなたが望むように変ってきます。
Y君は、この成功法則の裏づけのような変化の経緯を辿っています。
あなたの考えがあなたの行動を決め、その行動(行動・しぐさから醸し出される雰囲気)を見た(感じた)人が、あなたへの対応を決めます。
私はこのことを実験したことがあります。
ある高級ホテルにTシャツとジーパンで行き、コンシェルジェの人に宿泊客を装い話しかけました。このとき、喋り口調や態度も軽い感じで振舞いました。
このときの相手の反応は、一応は丁寧な対応でしたが、どこか手を抜いているというか、雑な扱いを受けた印象を持ちました。
次に、高いスーツで同じホテルに出かけ、同じようにコンシェルジェの人に宿泊客を装い話しかけました。
このときは、自信満々の態度で、エグゼクティブ感を醸し出す雰囲気を意識して話しかけました。
このときの相手の対応は明らかに最初とは違っていました。
うやうやしさが漂っていました。表情も全く違います。このとき、私はとても気持ちがよかったです
もし、あなたが周りから重要な人物と思われ、あなたの価値観を高めたいと思ったら、まずは、自分の自分へ対する考えから改めなければいけません。
自分は重要であり価値があると自分で思わなければ、まわりもそうは思ってくれません。
自分には価値があり、重要である、こう無理やり思い込み、そのような態度や喋り方をしていれば、いずれ、あなたの周りの情況は変ってきます。
あなたの周りの情況はあなたの力で無理やり変えようとしても変りませんが、あなたが変れば、自然と周りの情況も変ってきます。
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あなたの考えることが、あなたの行動を決めると、同時に、あなたの行動があなたに対する他人の対応を決める
【夜中、きょろきょろと、挙動不審だったらお巡りさんから声をかけられますが、堂々としていたら声はかけられませんよね!?】
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もし、あなたが変りたいと思っているなら、この言葉を紙に書いて貼っておくことです。
ハッタリもそれを続ければ本物になってしまうものなのです。